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本題に入る前に…。 今大会は日本選手たちにとっての“運”がなく、どこか“歯車がかみ合わなかった”印象が強く残る大会でした。 ・ 村主章枝選手 村主選手が今シーズン、様々な場面で口にしている「新しい発見をしたい。」という言葉。 実際にカナダ大会、NHK杯、そして今回のGPファイナルと順に観て来ると、その一つ一つの大会ごとに何かしら新しい発見をして、それを次に生かしながら徐々に各プログラムを進化させて来ているのがよく分かります。 より良いものへの飽くなき探究心。それが原動力となって今の村主選手をつき動かしている様に感じました。 フリー演技で使用しているカール・ジェンキンス氏が作曲した「魂の歌」には女性の声でスキャットがほぼ全編にわたり入っていますが、これは今シーズンが始まるよりずっと前から村主選手の頭の中にあったアイディアだそうですね。佐藤信夫コーチの反対も押し切ってまでこの曲を演技に取り入れたという話を聞くと、それだけこの曲に賭ける村主選手の想いの強さが伝わって来ます。 カナダ大会でのフリー演技終了後のキス&クライで、点数が表示された瞬間思わず「ディダクションは?」と口走っていた村主選手。おそらく自分の目で見ながらも、横に並んで座っていた佐藤信夫コーチの更なる念押しも欲しい心境だったのでしょう。ディダクションによる減点がゼロなのを2人で確認し合うと、初めてその時笑顔になった村主選手。その笑顔はシングル選手が試合で使用する曲にボーカルが入っていてはいけないというルールに一石を投じる挑戦をし、見事にその課題をクリア出来た嬉しさで満ちあふれていました。 この曲で村主選手が表現しているのは「現代版のシンデレラ」。 曲の冒頭ではシンデレラが時を知らせる鐘の音で目が覚め、恵まれない境遇でも日々を明るく元気に過ごしている様子を演じ、中盤にさしかかった所で披露するパントマイムの様な踊りでは、城で王子たちと楽しく踊っている時に耳を澄ますと12時を知らせる鐘の音が聞こえ、魔法がとけないうちにと慌てて城を飛び出し階段を駆け下りると、片方の靴が脱げてしまうという場面をコミカルに表現しています。 このそれぞれのパートを演じている時の村主選手はとても生き生きとしていて、まるで水を得た魚の様。独自性を追求する村主選手ならではの演技力が存分に発揮され、そこはまさに「村主ワールド」ですね。 自分の得意なパートに磨きをかけるだけでなく、比較的苦手としているエレメンツにも果敢に挑戦。 NHK杯からは3Sをプログラムに取り入れ、GPファイナルの演技ではフライングキャメルからドーナツへ変化するスピンを終盤で新たに組み込んでいました。 これらの事を全て合わせると、今シーズンの村主選手は「勝つ事」と「魅せる事」を念頭に置きながら、フィギュアスケートの「スポーツ」の部分と「芸術」の部分を今まで以上に融合させる事を目指している様に感じます。ただその“完成形”は村主選手自身にもまだ見えておらず、今はその答えを色々と模索中といった所でしょうか。 “フリー”演技といっても好き勝手に滑っていい訳ではなく、そこには様々なルールがあります。ジャンプ、スピン、ステップ、スパイラルのどれを取っても細かく実施に関するルールが決まっていて、それらを全部クリア出来ないと高得点を獲得出来ないのが今の採点システム。高得点の技というのもそれぞれのエレメンツごとに決められ、選手たちは得点を少しでも伸ばすためにその技をこぞって自分の演技に取り入れる様になり、そのため多くの選手の演技が(個々の選手による精度の違いはあるにせよ)似かよったものに。演技の殆どの部分をそういったエレメンツが占める中、それ以外のパートで個性を発揮するのは選手にとって本当に至難の業だと思います。増してそこに芸術性を加えようとしたら、なおさら。 村主選手は今までどちらかというとフィギュアスケートの「芸術」の部分に重きを置いて演技を作り上げて来た感がありましたが、トリノ五輪で“人生で一番悔しい思い”を経験し「勝つ」事の重要性を再確認。それからはフィギュアスケートの優劣がつく「スポーツ」の部分にも今まで以上に力を入れ始め、新たな「作品」を生み出すべく今シーズンのスタートを切りました。(他のスポーツ界でトップに立つ選手たちにも目を向け、特にイチロー、北島康介、井上康生、ロナウジーニョの各選手などの発言からは色々と影響を受けた様ですね。) GPファイナルまでの演技を見ると、まだ村主選手自身の心の中で色々と葛藤があり自分の演技に納得し切れていない部分が見え隠れするのですが、来たる全日本選手権ではこのプログラムをどこまで“自分のもの”にしてくるのでしょう?その仕上がりがとても楽しみです。 |
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ご無沙汰しております、槻矢です。 |
槻矢 2006/12/24 22:24 |
>槻矢さん |
Memory 2006/12/25 13:19 |
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